• お問い合わせ
  • メニュー
  • 閉じる

COLUMN

コラム一覧

  • 人類の歴史における金の価値の変遷とは?日本における金の歴史も解説


    category: 貴金属についての豆知識

    最終更新日 : 2025年10月02日
    投稿日 : 2025年10月02日


    人類の歴史を通じて、金は各時代の人々に価値を認められてきました。なぜ、金は人々をひきつけてきて、今なお高い価値を持ち続けているのでしょうか?

    そこで今回は、以下のトピックについて解説します。

    • 人類史における金の価値の変遷
    • 日本における金の歴史
    • 金の貨幣としての歴史
    • 金の価格推移の歴史
    • 今後の金の価値を左右する要因

    この記事を読むことで、金および金の持つ価値の歴史を知ることができます。「現代に至るまでの金の価値の変遷を知りたい」とお考えの方は、ぜひお読みください。

    人類史における金の価値の変遷


    古代文明に始まり現代に至るまでの人類史において、金の価値の変遷はどのようなものだったのでしょうか。以下6つの時代ごとに分けて、金の価値について順を追って解説します。

    • 古代文明と金の誕生
    • 古代ギリシャ・ローマ時代
    • 中世ヨーロッパ
    • 19世紀以降のゴールドラッシュ
    • 近代・金本位制
    • 21世紀以降の現代

    一つずつ見ていきましょう。

    古代文明と金の誕生

    金の歴史は、紀元前6000年頃のメソポタミア文明に始まります。高度な文明を持っていたシュメール人は、粘土板に「金採掘のために神々が地球に来た」と記しています。また、金の純度を表す24分率もこの文明が起源です。

    そして金は、紀元前4000年頃の古代エジプトやメソポタミア文明において、神々や王の権威を象徴する神聖な装飾品に使用されるようになりました。その錆びることなく永遠に輝き続ける性質が、太陽神ラーや、ファラオの不滅の権力と結びつけられたのです。

    ツタンカーメンの黄金のマスクに代表されるように、金は一般市民が触れることのできない、特別な存在でした。この時代に、金は価値の高い特別な存在であるというイメージが、人類の意識に深く刻まれました。

    古代ギリシャ・ローマ時代

    古代ギリシャ・ローマ時代には、金は、神聖な象徴から、国家がその価値を保証する「貨幣」へと、その役割を大きく変えました。紀元前7世紀頃にリディアで世界初の鋳造貨幣が生まれて以降、金貨は、その価値の普遍性から、広大な帝国内の経済を円滑にするための、最も信頼される決済手段となったのです。

    ローマ帝国のアウレウス金貨などは、安定した通貨として、当時の地中海世界の交易を支えました。

    中世ヨーロッパ

    中世ヨーロッパにおいては、13世紀頃には金貨が発行されるようになりましたが、かなり希少価値の高いものでした。

    そのため、身近にある物質や金以外の金属から金を作り出す「錬金術」という学問の確立に情熱が傾けられるようになりました。

    結局錬金術は成功しませんでしたが、化学や物理学などの発展に大きく貢献したといわれています。

    19世紀以降のゴールドラッシュ

    19世紀のゴールドラッシュは、世界各地で金鉱が発見され、多くの人々が一攫千金を夢見て殺到した歴史的な出来事です。

    1848年のカリフォルニア・ゴールドラッシュでは30万人以上が集まり、サンフランシスコは急速に都市化しました。1850年代にはオーストラリアで金鉱が見つかり、移民が急増して多文化社会の基盤が築かれました。さらに1896年のカナダ・クロンダイクでは10万人が過酷な自然に挑み、多くが命を落としました。

    これらのゴールドラッシュは経済発展や都市の誕生を促す一方で、先住民の生活を脅かし、環境破壊や法秩序の乱れも生みました。商人や運送業者が大きな利益を得た点も特徴的で、社会に光と影を残した出来事です。

    近代・金本位制

    19世紀後半、イギリスから始まった金本位制は、金貨をあらゆる商品の価値を測る基準と定めた国際的な金融システムです。

    金は錆びにくく加工しやすいため、貨幣の材料として最適でした。日本を含む世界各国もこれに倣い、自国が保有する金の量に応じて紙幣の流通量を調整し、為替レートを安定させたのです。

    金本位制には、貿易収支の不均衡を自動的に調整する仕組みがありました。貿易赤字国では金が流出し、国内の金保有量が減ることで紙幣の流通量が減り、物価が下落します。これにより輸出が増加して輸入が減少し、最終的に貿易赤字が解消されるのです。

    しかし、第一次世界大戦が勃発すると、イギリスは戦費調達のために金が流出し、この制度の維持が困難となり停止しました。その後、各国が金本位制からの離脱を余儀なくされ、世界恐慌による金融不安がこれに拍車をかけました。そして、1933年に世界最大の経済大国であったアメリカが金本位制を停止したことで、この制度は事実上崩壊しました。

    その後、各国は中央銀行が紙幣の発行量を管理する管理通貨制度へと移行し、1971年のニクソン・ショックを機に、通貨と金の関係は完全に断たれました。

    21世紀以降の現代

    21世紀以降の現代において、金は通貨そのものではなく、世界的な金融危機や地政学リスクに備えるため究極の「安全資産」として、その価値を再び高めています。

    どこの国にも属さず、それ自体が価値を持つ金は、ITバブルの崩壊やリーマンショック、そして近年の経済不安の中で、投資家や各国中央銀行の資金の避難先となって来たのです。6000年の歴史を通じて築かれた「信用」こそが、現代における金の価値の、最大の源泉なのです。

    日本における金の歴史


    日本国内においても、金は貴重で価値の高いものであるとされてきました。奈良時代から始まり現在に至るまでの金の歴史について解説します。

    奈良時代

    日本史における金の登場は、749年に陸奥国(現在の東北地方)で、日本で初めて砂金が発見されたことに始まります。この発見は、当時、聖武天皇が進めていた東大寺の大仏造立という、国家的な大事業を完成させるための、まさに天の恵みでした。

    産出された金は、この大仏を黄金に輝かせるための塗金(金メッキ)に用いられ、仏教を通じた国家鎮護の象徴となったのです。

    平安〜室町時代

    平安時代から室町時代にかけて、日本の金は、とくに奥州(東北地方)で多く産出され、マルコ・ポーロの『東方見聞録』における「黄金の国ジパング」伝説の源泉となりました。

    とくに、奥州藤原氏が、豊富な金の産出を背景に、平泉にきらびやかな文化を築きました。その象徴である中尊寺金色堂は、建物全体が金で覆われており、当時の日本の豊かさを、今に伝えています。

    この時代の金は、遠くヨーロッパにまで、その名声を轟かせたのです。

    戦国〜江戸時代

    戦国時代から江戸時代にかけての金は、戦国大名の軍資金として、そして、徳川幕府の経済を支える通貨として、日本の歴史を動かす中心的な役割を担いました。

    武田信玄が甲州金山を開発したように、各地の戦国大名は、金山を支配することで、その勢力を拡大しました。その後、天下を統一した徳川幕府は、佐渡金山などを直轄地とし、そこで産出される金をもとに、大判や小判といった金貨を鋳造し、全国的な通貨制度を確立したのです。

    明治時代以降〜現在

    明治維新後、日本は近代国家として世界経済に参加するため、通貨の価値を金で裏付ける「金本位制」を採用しました。そして現代では、金は通貨ではなく、資産や工業製品として重要な役割を担っています。

    金本位制は、世界恐慌などを経て、1930年代に停止されました。戦後、日本の多くの金山は閉山しましたが、1980年代に発見された菱刈鉱山(鹿児島県)は、今なお世界トップクラスの品質の金を産出しています。

    現在の金は、資産としてだけでなく、電子部品など、日本のハイテク産業に不可欠な素材となっています。

    金の貨幣としての歴史

    金が貨幣として使われ始めたのは、紀元前7世紀の古代リディアといわれています。世界初の金貨が誕生したのが起源です。金貨の誕生により、取引のたびに重さを量る手間が省かれ、商業が飛躍的に発展しました。

    その後、金は世界共通の通貨として機能し、19世紀には、各国が通貨の価値を金で裏付ける「金本位制」が国際経済の基盤となります。しかし、この制度は1971年のニクソン・ショックによって完全に終わりを告げ、世界の通貨は、国の信用にもとづく「管理通貨制度」へと移行しました。

    現在、金は公式な通貨ではありませんが、その数千年にわたる歴史的な信頼は、人々の意識に深く刻まれています。そのため、インフレや金融危機、戦争といった「有事」の際には、価値が下がらない究極の「安全資産」として、世界中から資金が集まる、特別な地位を保ち続けているのです。

    金の価格推移の歴史


    1971年の「ニクソン・ショック」を境に、金とドルの兌換が停止され、金の価格は、固定相場から市場の需要と供給によって決まる変動相場へと移行しました。

    ここでは、金の価格推移の歴史を以下3つの要素に分けて解説していきます。

    • 1980年前後:第一次オイルショックと地政学リスクによる、最初の急騰
    • 2008年:世界金融危機と、安全資産としての価値の再認識
    • 2020年以降:コロナ禍とウクライナ情勢、そして円安による歴史的高値

    それぞれ解説します。

    1980年前後:第一次オイルショックと地政学リスクによる、最初の急騰

    変動相場制に移行後、最初の大きな価格高騰が、1970年代後半から1980年にかけて訪れます。

    第四次中東戦争をきっかけとした第一次オイルショックが世界的なインフレを引き起こし、さらに、イラン革命やソ連のアフガニスタン侵攻といった、地政学リスクが極度に高まりました。

    この経済と社会の混乱を背景に、人々は資産の避難先として金に殺到。「有事の金」としての価値が強く意識され、金価格は史上初めて、1オンスあたり800ドルを超えるという、当時としては驚異的な急騰を見せました。

    2008年:世界金融危機と、安全資産としての価値の再認識

    1980年のピークから20年近く価格が低迷していた金が、再び大きく注目されたのが、2008年のリーマン・ショックに端を発する世界金融危機でした。

    アメリカの大手証券会社の破綻は、世界中の金融システムへの信頼を根底から揺るがしました。投資家たちは、価値が暴落する株式や債券といった金融資産を売り、実物資産である金へと一斉に資金を移動させます。

    これにより、金の「究極の安全資産」としての価値が再認識され、価格は再び、歴史的な高値へと駆け上がりました。

    2020年以降:コロナ禍とウクライナ情勢、そして円安による歴史的高値

    2020年以降、金価格は、史上最高値圏での推移を続けています。

    その背景には、まず、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックと、各国政府による大規模な金融緩和があります。さらに、2022年からのウクライナ情勢が、地政学リスクとインフレ懸念を増大させ、金の需要をさらに押し上げました。

    また日本国内においては、歴史的な「円安」が進行したことが、円建ての金価格を過去に例のない水準にまで高騰させている最大の要因となっています。

    今後の金の価値を左右する要因

    金の買取価格は、2025年9月30日現在で1gあたり20,396円という過去最高値を更新しました。2025年に入ってからは価格高騰の動きが顕著で、今後ますますの上昇が期待されています。

    金の買い時や売り時を見極めるためにも、今後金の価値を左右する以下4つの要因を知っておきましょう。

    • 世界的な「金利」の動向
    • 「米ドル」の価値の変動
    • 「地政学リスク」の発生
    • 「中央銀行」の金購入の動き

    一つずつ解説します。

    世界的な「金利」の動向

    金利の動向は、金の価値を左右する最も重要な要因の一つです。

    金そのものは、銀行預金と違って、利息を生みません。そのため、世の中の金利が上昇する局面では、利息を生まない金の魅力は相対的に下がり、価格は下落しやすくなります。

    逆に、金利が低下する局面では、金の魅力が高まり、価格は上昇しやすくなります。とくに、世界の金融政策をリードする米国の金利政策は常に注視されています。

    「米ドル」の価値の変動

    金の国際価格は、米ドル建てで取引されているため、米ドルの価値と金の価格はシーソーのような逆相関の関係にあります。

    一般的に、米ドルの価値が上がれば(ドル高)金の価格は下落し、米ドルの価値が下がれば(ドル安)金の価格は上昇する傾向にあります。これは、ドル安になると、ドル以外の通貨を持つ国々にとって金が割安になり、買い需要が増えるためです。

    「地政学リスク」の発生

    戦争や紛争、大規模なテロといった、世界情勢を不安定にさせる「地政学リスク」が高まると、金は「有事の金」として、その価値を大きく上げます。

    これは、特定の国が発行する通貨や企業の業績に左右される株式と違い、金は世界共通の価値を持つ「無国籍資産」だからです。世界が混乱し、他の資産への信頼が揺らいだとき、投資家たちは、資産の究極的な避難先として金を買い求めるのです。

    近年のロシアによるウクライナへの侵攻や、悪化する中東情勢は、金が高騰している大きな要因です。

    「中央銀行」の金購入の動き

    近年、世界各国の中央銀行が、準備資産として、金の保有量を増やし続けています。とくに、中国やインドといった新興国が、外貨準備における米ドルへの依存度を下げ、代わりに金を大量に購入する動きが顕著です。

    国家という、巨大で安定した買い手が継続的に市場から金を購入しているという事実は、金の需要を構造的に下支えしています。金価格の安定と、長期的な上昇に繋がる、非常に大きな要因といえるでしょう。

    まとめ

    太古のメソポタミア文明から現代に至るまで、金は人類にとって特別な価値を持ち続けてきました。紀元前には神々や王の象徴として扱われ、やがて貨幣となり、近代には世界経済の基準である金本位制を支えました。

    現在では、地政学リスクや経済不安に備える安全資産としての役割が再認識されています。

    金への投資を検討されている方は、毎日変動する金の価値を正しく見極め、金の購入や売却を進めてみてください。

    質屋CLOAKでは、金の質入れ・買取ともに対応しております。名古屋エリアで「お金が必要になった」「自宅に不要なものがある」などで質屋・買取の利用をご検討されている方は、ぜひ質屋CLOAKをご利用ください。

    監修:井上 男(だん)

    金や貴金属・ブランド品をはじめ幅広いジャンルを取り扱う「質屋CLOAK」の代表。1977年7月生まれ。
    査定歴は25年以上で、年間10,000点ほどの商品を査定。長年培ってきた経験やスキル・最新相場の把握によって、お客様のご希望に寄り添った高額査定を実現中。

    おすすめの記事