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category: 貴金属についての豆知識
最終更新日 : 2025年09月03日
投稿日 : 2025年09月02日

株のように配当を生むわけでも、不動産のように誰かが住めるわけでもない「金」。なぜ金には価値があるのか、不思議に思ったことはありませんか?その疑問は、資産の本質を考えるうえで非常に重要です。
金の価値は、単に「希少だから」という一言では片付けられません。そこでこの記事では、以下の内容を解説していきます。
金の価値について知りたい、今後金の価値がどうなっていくのか知りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

金は、太古の昔から、その価値を世界中の人々から認められてきた貴金属です。元素記号は「Au」で、美しい黄金色の輝きを持ち、化学的に極めて安定しています。
ここでは、金の基本的な情報を、「特徴」「純度」「カラーバリエーション」に分けて解説します。
金が持つ最大の特徴は、王水以外の酸にも溶けないほどの「化学的安定性」と、1グラムで約3000メートルもの糸に伸ばせるほどの「優れた加工性」です。この化学的な安定性が、金が何千年経っても錆びずに、その輝きを保ち続ける理由です。
また、非常に柔らかく、しなやかに形を変えられる加工性の高さが、古くから人々を魅了する、繊細で美しい宝飾品の製作を可能にしてきました。この美しさ、不変性、そして希少性が、金の価値の源泉となっています。
日本では、金の純度は24分率で表されることが一般的です。以下に、金の一般的な純度別の「純金含有率」と「特徴・用途」をまとめました。
| 純度(K数) | 純金含有率 | 特徴・用途 |
| 24K | 99.99% | ほぼ純金。 金本来の輝きが強く、柔らかい。 |
| 22K | 約91.6% | 純度は高いが少量の合金(銀や銅)で硬さを増している |
| 18K | 約75% | 金に銀や銅を混ぜて硬さと耐久性を向上。 ジュエリーに多い |
| 14K | 約58.5% | 18Kよりもさらに硬く、耐久性が高い。 婚約指輪や日常用ジュエリーに多い。 |
| 10K | 約41.7% | 金の含有量が少ないため硬く、安価。 |
※実際には、「K20」や「K9」「K8」なども存在します。
「K24(24金)」が純度99.99パーセント以上の純金を示し、数字が小さくなるほど、金の含有率が低くなります。
ジュエリーで一般的な「K18」は、24分の18、つまり75パーセントが金です。残りの25パーセントは、強度を高めたり、色味を調整したりするための「割金」と呼ばれる、ほかの金属(銀や銅など)が混ぜられています。
この純度の違いが、金の資産価値や、ジュエリーとしての特性を決定づけます。
金製品は、金に混ぜる金属を調整することで、色をつけることが可能です。以下に、一般的な金のカラーバリエーションをまとめました。
| カラー | 混ぜる金属 | 特徴・用途 |
| イエローゴールド | 銀・銅少量 | 金本来の黄色を強く残した色。 伝統的なジュエリーに多い |
| ホワイトゴールド | 銅・銀・パラジウムなど | 白っぽい銀色。 プラチナに似た色で婚約指輪などに人気 |
| ピンクゴールド ローズゴールド | 銅多め | 赤みがかった暖色系。 かわいらしい印象。 |
| グリーンゴールド | 銅・銀・亜鉛など | 緑がかった金色。 珍しいカラー。 |
| ブルーゴールド | 銅・鉄など | 青みがかった金色。 珍しい装飾用。 |
| ブラックゴールド | 銅・パラジウムなどに酸化処理 | 黒色。 モダンでクールな印象。 |
金には、最も定番といえるイエローゴールドだけでなく、割金の種類と配合比率を変えることで、様々な色合いを生み出した「カラーゴールド」が存在します。
たとえば、銅の比率を多くすると、温かみのある「ピンクゴールド」になります。また、パラジウムや銀といった白い金属を混ぜると、スタイリッシュな「ホワイトゴールド」が生まれます。
これらのカラーゴールドも、ベースとなる金の純度が同じであれば(たとえばK18)、金としての資産価値は変わりません。

金が、何千年にもわたって「価値あるもの」として世界中で認められてきたのには、以下のような理由が関係しています。
なぜ金がこれほどまでに人々を惹きつけるのか、その価値の源泉を一つずつ見ていきましょう。
金の価値の根源は、地球上に存在する量が限られているという「希少性」と、人類が古くから扱ってきた「加工のしやすさ」という、相反するような性質を併せ持つ点にあります。この二つの特徴が、金に普遍的な価値を与えています。
詳しく解説します。
金の価値を支える最大の理由は、その絶対的な埋蔵量に限りがあるという「希少性」です。
これまで人類が採掘した金の総量は、オリンピック公式プール約4杯分しかないといわれています。また、現在、地中に残された採掘可能な金も、あとプール1杯分程度と推定されています。
このように、金は地球上で有限であるため、その希少価値が保たれているのです。
金は、非常に柔らかく、薄く延ばしたり、細く伸ばしたりするのが容易な、優れた加工性を持っています。わずか1グラムの金で、数平方メートルもの金箔を作れるほどです。
この加工のしやすさが、古くから人々を魅了する、繊細で美しい宝飾品の製作を可能にしてきました。美しいだけでなく、人の手で様々な形に変えられることも、金が広く普及した理由の一つです。
金は、空気中や水中で錆びたり、腐食したりすることがない、化学的に極めて安定した金属です。ほとんどの酸にも溶けないため、何千年もの時を経ても、その美しい輝きを失うことがありません。
古代エジプト王の黄金のマスクが、今もなお輝き続けているのがその証拠です。この「不変性」が、価値を永続的に保存する機能を与えています。
金は、数千年にわたる人類の歴史の中で、常に「価値あるもの」として扱われてきた、極めて高い信用度を持っています。特定の国や時代の権力者が決めた価値ではなく、世界中の人々が、共通の認識としてその価値を認めてきたのです。
より詳しく見ていきましょう。
古代エジプトやインカ帝国など、世界中のあらゆる文明において、金はその希少性と輝きから、王や権力者だけが手にできる「富と権力の象徴」でした。太陽の輝きにもたとえられ、神聖なものとして扱われていたのです。
国や文化、宗教を超えて、「金は特別で価値がある」という共通の価値観が、人類の歴史の早い段階で形成された大きな証拠です。
金は、特定の国が発行する紙幣とは異なり、それ自体が価値を持つ「世界共通の通貨」として、古くから機能してきました。
かつて、多くの国が、自国の通貨の価値を金と連動させる「金本位制」を採用していた歴史があります。国が破綻しても、金の価値はゼロにはなりません。
このように、どの国でも換金できる普遍性が、金が「無国籍通貨」とも呼ばれる所以です。
金は、世界経済が不安定になったり、インフレが懸念されたりする際に、資産価値を守るための「安全資産」として、需要が高まる特徴があります。
株式や債券といった金融資産は、経済危機が起きると価値が大きく下落するリスクがあります。そんなとき、実物資産である金の価値は相対的に安定しているため、投資家たちの資金の避難先となるのです。
各国の中央銀行が、自国の通貨の信用の裏付けとして大量の金を保有しているという事実も、金の安全資産としての価値を高めています。
各国の中央銀行は、万が一の経済危機に備え、外貨準備の一部として金を保有しています。とくに近年では、中国やインドなどの新興国が、米ドルへの依存度を下げ、金の保有量を増やす動きを強めています。
公的な機関が、国家の資産として金を認めていることが、その信頼性をさらに強固なものにしています。
金は、物価が上昇してお金の価値が下がっていく「インフレーション」に強い資産として知られています。
紙幣は政府が供給量を増やすことができますが、金の総量は限られています。そのため、インフレでお金の価値が目減りしても、金の価値はそれに連動して上昇する傾向にあるのです。
金は、宝飾品や資産としてだけでなく、「工業用素材」としての実用的な需要があります。私たちの身の回りの意外なところで、金は活躍しているのです。
さらに詳しく見ていきましょう。
金は、電気を非常によく通し、かつ錆びないという性質から、スマートフォンやパソコンの内部にあるCPUやメモリーといった精密な電子部品に広く使われています。
回路の接続部分に金メッキを施すと、長期間にわたって信号の劣化を防ぎ、製品の信頼性を高めることができます。金は、私たちの現代生活に欠かせないあらゆる電子機器の性能を影で支えているのです。
金は、人体に対してアレルギー反応を起こしにくい性質から、金歯や金冠といった歯科治療の材料として古くから使われてきました。
また、宇宙開発の分野では、人工衛星や宇宙服のヘルメットのシールドに金を蒸着させた薄い膜が使われています。これは、金が強力な赤外線を効率よく反射し、精密機器や宇宙飛行士を太陽の熱から守るためです。
金は、世界中に確立された市場が存在しています。そのため、いつでもどこでもその時々の時価で現金に換えられる「流動性の高さ」を持っています。
たとえば不動産などは、買い手が見つからなければすぐに現金化することはできません。しかし金は、世界共通の価値基準がある資産です。そのため、専門の買取業者に持ち込めば、その日の相場にもとづいてすぐに売却できます。
この換金のしやすさが、金を優れた資産たらしめている理由です。

2020年以降金の価値は高騰傾向にあり、歴史的な高値を記録し続けています。それには、以下4つの要因が関係しています。
詳しく解説します。
世界各地で続く紛争や、大国間の対立といった地政学リスクの高まりが、「有事の金」としての需要を喚起しています。
戦争や紛争が起きると、関係国の通貨や株式の価値は暴落する危険があります。このようなとき、特定の国に属さず世界共通の価値を持つ金は、資産の究極的な避難先と見なされるのです。
国際情勢が不安定になればなるほど、この安全資産としての金の輝きは増していきます。
世界的に続く物価上昇(インフレーション)と、それに伴う経済の先行き不安も、金の価値を高める大きな要因です。
インフレが続くと、現金や預貯金の購買力は時間と共に目減りしていきます。これに対し、総量が限られている金は、インフレに強く、資産の価値を守る「インフレヘッジ」として機能します。
紙幣への信頼が揺らぐ中で、価値が失われない実物資産として金に注目が集まっています。
近年の金価格高騰を構造的に支えているのが、中国やインドをはじめとする新興国の中央銀行による、継続的な金の購入です。これは、基軸通貨である米ドルへの過度な依存から脱却し、自国の資産を多様化させるための、世界的な「脱ドル化」の動きの一環です。
また、国家という巨大で安定した買い手が、自国の資産を守るために金を買い続けるという事実そのものが、金が持つ普遍的な信認の高さを物語っています。
日本国内において、金の販売価格が過去最高値を更新し続けている直接的な要因は、歴史的なレベルで進行している「円安」です。
金の国際価格は米ドルで取引されるため、円の価値が下がると、同じ1オンスの金を買うためにより多くの円が必要になります。たとえドル建ての金価格が一定でも、円安が進行するだけで、日本国内での円建て価格は上昇するのです。
現在の日本の金価格は、国際的な金高騰と円安の二つの要因が掛け合わさって形成されています。
今後、金の価値がどうなるかは、世界の中央銀行の金融政策(とくに金利の動向)と、地政学リスクの行方に大きく左右されるでしょう。
もし、世界的に金利が引き下げられる局面になれば、金利を生まない金の相対的な魅力は高まります。また、新たな国際紛争などが起これば、安全資産としての需要はさらに高まるはずです。
一方で、世界経済が安定を取り戻せば、価格が調整される可能性もあります。そのため、短期的には金の価値が落ち込むケースも十分に考えられます。
しかし、金の埋蔵量そのものが有限であるという絶対的な事実が、その長期的な希少価値を支え続けるでしょう。
この記事では、なぜ金には価値があるのかを、以下の6つに分けて解説しました。
錆びずに輝き続けるという物理的な「強さ」と、数千年かけて築き上げられた人類の「信用」が、金が価値を持つ最大の理由です。
この記事で解説した内容を、金への投資や手元にある金の売却に役立てていただければ幸いです。
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監修:井上 男(だん)
金や貴金属・ブランド品をはじめ幅広いジャンルを取り扱う「質屋CLOAK」の代表。1977年7月生まれ。
査定歴は25年以上で、年間10,000点ほどの商品を査定。長年培ってきた経験やスキル・最新相場の把握によって、お客様のご希望に寄り添った高額査定を実現中。

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