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  • 金を採掘できる場所や採掘方法とは?金の製錬・精錬方法なども解説


    category: 貴金属についての豆知識

    最終更新日 : 2025年07月31日
    投稿日 : 2025年07月31日


    光り輝き、太古の昔から人々を魅了してきた「金」。その普遍的な価値は誰もが知っていますが、一体どのように採掘されて、地球の奥深くから私たちの手元に届けられるのでしょうか。

    そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。

    • 金を採掘できる場所
    • 金の主な採掘方法
    • 金のさまざまな製錬・精錬方法
    • 個人で金を採掘することは可能?

    金について、採掘されてからインゴットやジュエリーになるまでの工程を詳しく解説しているので、金の採掘について興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

    金ができるまでの工程

    私たちが手にする金は、実は地球が誕生するよりもはるか昔、宇宙空間での中性子星の合体といった、超新星爆発を超えるような、壮大な天体現象によって生まれたと考えられています。地球内部の核に重い金が沈んだあと、金を含む小惑星が衝突したことで、地表近くにもたらされたという説です。

    それが、マグマの活動によって熱せられた地下水に溶け出し、岩盤の割れ目で冷えて固まることで、金鉱脈が形成されたのです。

    金を採掘できる場所


    金は、その成り立ちによって、主に「山」や「川」、そして「海底」といった場所から採掘されます。金がどこに存在するかによって、その採掘方法も大きく異なります。

    山や川

    歴史を見ると、人類が金を採掘してきた主な場所は「山」と「川」です。

    山の岩盤の亀裂には、石英などと共に固まった「山金(さんきん)」が鉱脈として存在します。そして、この鉱脈が、雨や風によって長い年月をかけて削られ、崩れ落ちて川に流れ着いたものが、「川金(かわきん)」、すなわち砂金となります。

    この2つは、金の存在形態が違うだけで、もともとは同じ金です。

    山金の採掘方法

    山の岩盤内にある鉱脈から直接、金を取り出すのが「山金」の採掘です。

    山金の場合、後述する「坑内掘り」のように、地下深くまでトンネルを掘り進めて鉱脈を追いかける方法や、地表近くに鉱床が広がる場合は「露天掘り」という方法が用いられます。

    いずれも、金を含む岩石(金鉱石)ごと大量に掘り出したあと、製錬の工程でわずかな金を取り出すという大掛かりな作業が必要です。

    川金の採掘方法

    川の砂の中に混じった金を、水を使って選り分けるのが「川金」の採掘方法です。これは、砂や石よりも金の比重が「重い」という性質を利用した、最も原始的で分かりやすい方法です。

    「パンニング皿」という専用の皿を水中で揺らし、軽い砂を洗い流して、重い砂金を底に残します。現在では「砂金採り体験」として、多くの観光地で楽しむことができます。

    海底

    近年、新たな金の供給源として、水深1,000メートルを超える深海の「海底」にある鉱床が注目されています。

    海底火山の近くでは、「熱水噴出孔」という場所から、金を豊富に含んだ熱水が噴き出しています。この熱水が冷たい海水で急に冷やされることで、金属成分が沈殿し、「海底熱水鉱床」という新たな鉱物資源が形成されるのです。

    まだ商業的な採掘は限定的ですが、未来の資源として世界中で調査が進められています。

    金の主な採掘方法


    金の採掘方法は、鉱床の場所や規模に応じて、以下のような方法がおこなわれます。

    • 露天掘り
    • 坑内掘り
    • 砂金採り

    それぞれ解説します。

    露天掘り

    露天掘りは、地表近くに金鉱床が広く分布している場合に用いられる、地表から直接巨大な穴を掘っていく採掘方法です。

    まず、地表の土砂を取り除き発破で岩盤を砕きながら、渦を巻くように、あるいは階段状に掘り進めていきます。掘り出した鉱石は、巨大な重機で運び出されます。

    安全性が高く、効率的に大量の鉱石を採掘できるため、世界の多くの大規模金鉱山で採用されている採掘方法です。

    坑内掘り

    坑内掘りは、地下深くに金の鉱脈が眠っている場合に、トンネルを掘り進めて鉱石を採掘する方法です。

    地表から垂直または斜めに、エレベーターのような役割を果たす「立て坑」を掘り、そこから水平に坑道を延ばして鉱脈に到達します。鉱脈に沿って発破をおこない、鉱石をトロッコなどで地上に運び出します。

    日本で現在も稼働している菱刈鉱山でも、坑内掘りにて高品質な金鉱石を採掘している、ポピュラーな採掘方法です。

    砂金採り

    砂金採りは、川底の砂利のなかから、自然の力で運ばれてきた砂金を探し出す、最も古くからおこなわれている採掘方法です。

    金が水や砂よりも重いという性質を利用し、「パンニング皿」という道具を使って、水中で砂利を揺すり、軽い土砂だけを洗い流していきます。これを繰り返すことで、皿の底に、比重の重い砂金や砂鉄だけが残るという仕組みです。

    大規模な採掘には向きませんが、趣味や観光として、その魅力を体験することができます。

    金のさまざまな製錬・精錬方法


    採掘された金鉱石から純粋な金を取り出すためには、まず鉱石から金を大まかに抽出する「製錬」、次にその純度を極限まで高める「精錬」という、二段階の工程を経る必要があります。

    1トンの鉱石に含まれる金は、わずか数グラムです。この微量な金を効率よく回収するために、様々な化学的・物理的な手法が開発されてきました。

    金の製錬方法

    「製錬」とは、細かく砕いた金鉱石のなかから、金を含む成分を分離・抽出する工程です。鉱石に含まれる金の量やほかの鉱物の種類によって、以下のような方法から最適なものが選択されます。

    • アマルガム法(水銀法)
    • シアン化法(青化法)
    • 浮遊選鉱法

    一つずつ解説します。

    アマルガム法(水銀法)

    アマルガム法とは、金が水銀と混ざり合う(アマルガムという合金になる)性質を利用した、古典的な金の抽出方法です。

    細かく砕いた金鉱石を水銀と混ぜ合わせ、金と水銀の合金を作ります。その後合金を加熱すると、水銀だけが蒸発し、後に金が残るという仕組みです。

    簡単な方法ですが、蒸発した水銀は人体や環境に非常に有害であるため、現在ではほとんど使われていません。

    シアン化法(青化法)

    シアン化法(青化法)は、シアン(青酸)化合物の溶液を使って、鉱石から金だけを化学的に溶かし出して回収する方法です。現代の金製錬で最も主流となっています。

    金鉱石をアルカリ性のシアン溶液に浸すと、金が選択的に溶け出し、液体(貴液)となります。この液体に亜鉛の粉末などを加えると、化学反応によって金が沈殿し、回収できるという仕組みです。

    品位の低い鉱石からでも効率的に金を大量に回収できるのが、この方法の最大の利点です。

    浮遊選鉱法

    浮遊選鉱法は、鉱石に含まれる金などの鉱物の水への馴染みやすさの違いを利用して、目的の成分を泡に付着させて分離・濃縮する方法です。

    細かく砕いた鉱石を水と薬品の中に入れ、空気を送り込んで泡立てます。すると、薬品の作用で水に馴染みにくくなった金の微粒子が、泡にくっついて浮き上がります。この泡を回収することで、金を含む部分だけを効率的に集めることができるのです。

    直接金を取り出すというよりは、その後の製錬工程の前処理として、鉱石の品位を高めるために使われます。

    金の精錬方法

    「精錬」とは、製錬によって抽出された、まだほかの金属(銀や銅など)を含む金から、不純物を取り除き、純度を99.99パーセント以上に高めていく最終工程です。この工程を経て初めて、金は宝飾品や、資産として取引されるインゴットへと生まれ変わります。

    金の純度を高めるための、代表的な精錬方法は以下の4つです。

    • 溶融精錬法
    • 電解精錬法
    • 塩素法
    • 真空蒸留法

    それぞれ解説します。

    溶融精錬法

    溶融精錬法は、金属や不純物の融点や性質の違いを利用し、高温で溶かして比重差などで分離させる、精錬の基本的な方法です。

    金を含む金属をるつぼなどに入れて高温で溶かし、融剤を加えます。すると、金よりも軽い不純物は、スラグ(鉱さい)として表面に浮かび上がります。これを取り除くことで、金の純度を高めていくのです。

    ほかの精錬方法の前段階としておこなわれることも多い、基礎的な技術です。

    電解精錬法

    電解精錬法は、電気分解の原理を応用した精錬方法です。金だけをイオンとして溶かし出し、再び純粋な金として析出させることで、非常に高い純度を実現します。

    不純物を含む金をプラス極、純金の板をマイナス極として電解液に入れ、電気を流します。すると、プラス極から溶け出した金のイオンだけが、マイナス極の純金板に吸い寄せられてくっつきます。

    銀や銅といった不純物は底に沈殿するため、純度99.99パーセント以上の高純度な金を得られるのが最大の特徴です。

    塩素法

    塩素法は、溶かした粗金(純度の低い金)のなかに塩素ガスを吹き込むことで、不純物を分離・除去する精錬方法です。

    金は塩素と反応しにくいですが、不純物である銀や銅、亜鉛といった金属は、塩素と反応して塩化物となります。この塩化物は、溶けた金よりも軽いため、表面に浮かび上がります。これを取り除くことで、金の純度を高める仕組みです。

    電解精錬法よりも迅速に処理できますが、純度は99.5パーセント程度までとなります。

    真空蒸留法

    真空蒸留法は、真空状態では金属の沸点が下がる性質を利用し、金よりも沸点の低い不純物だけを蒸発させて分離する、比較的新しい精錬技術です。

    真空容器内で金を含む金属を加熱すると、亜鉛や鉛といった不純物が、金が溶けた状態のまま先に蒸発して気体になります。この蒸気を回収・冷却することで、不純物と金を分離させます。

    特定の不純物を効率的に除去するのに適した方法です。

    世界の金産出量ランキングと日本の金山

    金鉱脈は、地球上のどこにでも存在するわけではありません。そのため、産出地域は非常に限定されています。かつて「黄金の国ジパング」と呼ばれた日本にも、今なお現役で稼働する金山が存在します。

    世界と日本の金の産出状況について、詳しく見ていきましょう。

    世界の金産出量国ランキングTOP3

    現在、世界で金産出量が多いTOP3の国は以下の3ヶ国です。

    • 中国
    • オーストラリア
    • ロシア

    参考:金の産出量の多い国|外務省
    上記の3ヶ国が、長年にわたって上位を独占しています。これらの国々は、広大な国土に大規模な金鉱床を有しており、最新の採掘技術を駆使して、大規模な露天掘りや坑内掘りをおこなっています。

    このように、金の生産が一部の国に集中していることが、国際情勢によって金の価格が変動する一因にもなっています。

    日本にも金山はある?

    かつて佐渡金山などが栄えた日本にも、現在、商業規模で稼働している金山が一つだけあります。それが、鹿児島県にある「菱刈鉱山」です。

    菱刈鉱山の金鉱石は、1トンあたり約20グラムもの金を含んでおり、世界の主要な金鉱山の平均(1トンあたり3〜5グラム)と比べて、驚異的な高品位を誇る、世界でも有数の金山です。

    金の採掘を続けても地球から無くならないのか


    金の埋蔵量には限りがあるため、現在のペースで採掘を続ければ、いずれ地球から掘り尽くされてしまうと考えられています。

    そのため、限りある資源を有効活用する「金のリサイクル」の重要性が、近年ますます高まっています。金の未来は、新たな採掘だけでなく、地上にある資源をどう循環させるかにかかっています。

    金の埋蔵量には限りがある

    地球上に存在する金の総量には限りがあり、そのうち現在の技術で経済的に採掘可能とされる「埋蔵量」は、約50,000トン程度と推定されています。世界の年間産出量は約3,000トンなので、単純計算では、あと十数年で掘り尽くしてしまうことになるのです。

    もちろん、新たな金鉱の発見や採掘技術の進歩によって、この数字は変動します。しかし、金が有限で、希少な資源であることに変わりはありません。

    「金のリサイクル」が注目されている

    現在、新たな金の供給源として、使用済みの携帯電話やパソコンといった電子機器から金を取り出す「都市鉱山」からのリサイクルが世界的に注目されています。

    電子機器の精密な回路には、微量ながらも高品質な金が使われています。これらの廃棄された製品から金を集めて、再びインゴットなどに精錬する技術が進んでいるのです。

    地中から新たに採掘するよりも、環境への負荷が少ないという大きなメリットもあり、将来の金の安定供給を支える重要な柱となっています。

    金を個人で採掘することは難しい

    個人が、趣味の範囲を超えて事業として金を採掘し利益を上げるのは、法律、技術、そして資金の面から極めて難しいといえます。

    日本で鉱物を採掘するには、国の許可(鉱業権)が必要です。また、大規模な採掘には、専門的な地質調査や、数億円規模の設備投資が不可欠です。

    趣味として観光地にて「砂金採り」を楽しむことは可能ですが、一攫千金を狙うような本格的な採掘は、現実的ではないと理解しておくのが良いでしょう。

    まとめ

    この記事では、金の採掘方法や世界の産出地、そして鉱石から純金になるまでの工程を、幅広くご紹介しました。

    1トンの岩石からわずか数グラムしか採れないという事実からも、金の希少性と、その価値の理由がお分かりいただけたかと思います。しかし、地中に眠る金の埋蔵量には限りがあり、新たな採掘は年々困難になっています。

    これからの時代、私たちの暮らしを支える金は、地球から新たに掘り出すだけでなく、使用済みの電子機器から金を取り出す「都市鉱山」のリサイクルが、ますます重要な役割を担っていくでしょう。

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    監修:井上 男(だん)

    金や貴金属・ブランド品をはじめ幅広いジャンルを取り扱う「質屋CLOAK」の代表。1977年7月生まれ。
    査定歴は25年以上で、年間10,000点ほどの商品を査定。長年培ってきた経験やスキル・最新相場の把握によって、お客様のご希望に寄り添った高額査定を実現中。

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