• お問い合わせ
  • メニュー
  • 閉じる

COLUMN

コラム一覧

  • 日本と世界における質屋の歴史 | 質屋が時代を超えて利用され続ける理由


    category: 質屋についての豆知識

    最終更新日 : 2025年10月02日
    投稿日 : 2025年10月02日


    質屋は単なる古風な商売ではなく、数千年の歴史を持つ、人類最古の金融サービスの一つです。ではなぜ質屋がこれほどまでに長く存続し、現代においても多くの人々に利用されているのでしょうか?

    この記事では、日本と世界の歴史を紐解き、質屋が時代や文化を超えて愛され続ける理由に迫ります。

    この記事を通して、質屋の普遍的な価値と、現代のライフスタイルにマッチした新しい役割について、深く探求していきましょう。

    日本における質屋の歴史


    日本における質屋の歴史は、今から700年以上前の鎌倉時代に始まりから現代に至るまで、時代ごとのニーズに合わせて、その役割を変えながら続いてきました。質屋の歴史は、庶民の暮らしを金融面から支えてきた歴史といえます。

    質屋の長い歩みを、以下4つの時代を追って見ていきましょう。

    • 鎌倉時代
    • 江戸時代
    • 明治時代以降
    • 現代

    詳しく解説します。

    鎌倉時代:質屋の原型が誕生した

    日本における質屋の原型は、約700年前の鎌倉時代に誕生しました。その名も「土倉(どそう・とくら)」という金融業者です。

    土倉は、当時の武士や農民が、年貢を納めるための資金や、急な出費に対応するために、田畑や家屋を担保にお金を借りる際に利用されていました。なかには仏教寺院が運営する土倉もあり、貧困に苦しむ人々を救済する側面も持っていました。

    この土倉が、のちの質屋の直接的なルーツとなり、室町時代には、その影響力はさらに拡大しました。幕府は土倉からの収入を重要な財源とする一方で、その高い金利や厳しい取り立てが社会問題となることもありました。それでも、土倉は金融システムが未発達だった時代において、庶民の暮らしを支える不可欠な存在として、広く社会に浸透していったのです。

    江戸時代:「庶民の味方」としての全盛期を迎える

    江戸時代に入ると、質屋は武士から町人、そして農民まで、あらゆる階層の人々にとって最も身近で不可欠な金融機関として、その全盛期を迎えました。貨幣経済が発達する中で、人々は給料の前借りや急な出費に備えるためのセーフティーネットとして、質屋が積極的に利用されたのです。

    刀や着物、書物、時には布団まで、日々のあらゆる生活用品が質草(預けられる品物)となり、お金を借りるための担保として活用されました。

    江戸の町には数多くの質屋が軒を連ね、それぞれが地域住民の生活に深く根ざしていました。「質流れ」の仕組みもこの時代に確立され、借りたお金を返済できなくても、質草を諦めることで借金がなくなるという安心感も、質屋が広く受け入れられた理由の一つです。

    質屋は、単なる金貸しではなく、人々の暮らしを支え、いざという時の助けとなる、まさに「庶民の味方」だったのです。

    明治時代以降:銀行制度が整うまで生活に欠かせない役割を担った

    明治時代に入り、西洋の技術や制度が導入される中で、近代的な銀行制度が整備され始めました。しかし当時の銀行は、担保となる不動産などを所有しない一般庶民にとっては、まだまだ敷居の高い存在でした。そのため、身の回りの品物を担保に、手軽にお金を借りられる質屋は、引き続き庶民の生活に欠かせない金融機関としての役割を担い続けたのです。

    大正から昭和時代にかけても、質屋は地域の金融インフラとして機能しました。特に第二次世界大戦後の混乱期には、多くの人々が生活資金を質屋に頼りました。

    銀行の融資を受けにくい人々にとって、質屋は最後のセーフティーネットであり、日々の暮らしを支える上で欠かせない存在として、その地位を確固たるものにしていたのです。

    現代:コロナの流行をきっかけに再度注目される

    現代において、質屋は単なる金融機関ではなく、ブランド品や貴金属を売却せずに活用できる、スマートな資金調達の手段として、その役割を大きく変えています。特に、コロナ禍をきっかけとした経済の不確実性や、在宅時間が増えたことによる身の回りの整理で、改めて質屋の価値が見直されました。

    眠っていた資産を、必要な時に必要なだけ現金化できるという質屋の柔軟なシステムは、現代の多様なライフスタイルに合致しています。また、品物を担保に借り入れを行うため、信用情報に影響を与えないという利点も、デジタル社会において再評価されています。

    質屋は、伝統的な業態でありながらも、時代のニーズに合わせて進化を遂げ、再び多くの人々から注目を集める存在になっているのです。

    世界における質屋の歴史

    質屋という、品物を担保にお金を貸す仕組みがあるのは、日本だけではありません。世界中で数千年前から存在していた、人類の歴史上最も古い金融システムの一つが、質屋なのです。

    ここでは、世界における質屋の歴史について、「3000年前の中国」と「古代ギリシャやローマ」という2つのテーマに焦点を当てて、その起源と発展を深掘りします。

    3000年前の中国が質屋の起源

    世界の質屋の最も古い起源は、今から約3000年前の古代中国にまで遡るといわれています。その原型は、寺院や裕福な家庭が、貧しい民衆に対して、食料や農具などを担保に金銭を貸し付ける制度でした。これは単なる金融活動にとどまらず、貧しい人々を救済する社会的な役割も担っていました。

    中国で誕生した質屋の仕組みは、その後シルクロードなどの交易路を通じて、アジア各地へと広まっていきました。質屋は、東洋の古くからの知恵であり、人々の生活を安定させるための重要なインフラとして機能していたのです。

    紀元前の古代ギリシャやローマでも質屋は存在

    西洋における質屋の歴史も非常に古く、紀元前の古代ギリシャやローマの時代には、すでに一般的な金融システムとして市民の生活に深く根付いていました。当時の法律にも、物品を担保とした貸付に関する詳細な記述が残されており、この制度が社会的に認知され、保護されていたことが分かります。

    庶民が、急な出費や資金繰りのために、身の回りのものを担保にお金を借りるという質屋の基本的な機能は、数千年前から東西を問わず存在していました。これは、時代や文化が異なっても、人々が直面する経済的な課題が共通していたことを示しています。

    質屋は、古代から現代まで、形を変えながらも、人々にとって身近な金融サービスであり続けているのです。

    質屋が時代を超えて利用され続ける理由


    質屋が、銀行や消費者金融が発展した現代においても、700年以上にわたって利用され続けているのは、他の金融機関にはない、ユニークで、利用者本位の仕組みを持っているからです。

    時代が変わっても色褪せない質屋ならではの魅力を、以下の5つに分けて解説します。

    • 即座に現金が得られる
    • 幅広い品物が資金化できる
    • 少額でも利用できる
    • 安心感がある
    • 信用情報に影響しない

    詳しく見ていきましょう。

    即座に現金が得られる

    質屋の最大の魅力は、品物さえあれば、その場で即座に現金を手に入れられるという点です。査定から融資まで、圧倒的なスピード感で完了します。

    銀行のローンのように、何日もかかる審査や、複雑な書類の提出は一切必要ありません。品物の価値が融資額となるため、その場で査定額が決まれば、すぐに現金を受け取れるのが質屋ならではの特徴です。

    質屋であれば、品物は手放したくないけど現金が欲しいというニーズに、迅速に応えることができます。

    幅広い品物が資金化できる

    質屋では、幅広い品物を担保に融資を受けることができます。

    質屋で質入れの対象となるのは、ブランド品や貴金属だけではありません。時計や楽器、そして最新のスマートフォンまで、換金価値のある幅広い品物を担保として資金化することが可能です。

    質屋は、不動産など特定の資産しか担保に取らない銀行とは異なり、個人の身の回りにあるさまざまな「モノの価値」を評価してくれます。

    少額でも利用できる

    「あと数千円だけ、給料日まで足りない」といった、少額だけ欲しいというニーズにも対応してくれるのが、質屋の便利な点です。

    銀行などでは、少額の融資は効率が悪く、取り扱っていないことがほとんどです。しかし質屋であれば、品物の価値に応じて、数千円単位からの借入も全く問題ありません。日常生活のちょっとした「困った」に、柔軟に寄り添ってくれる金融機関なのです。

    安心感がある

    質屋には、万が一返済ができなくなっても、預けた品物を手放せばそれ以上の返済義務や厳しい取り立てが一切ないという、利用者にとっての大きな「安心感」があります。この「質流れ」という仕組みは、法律(質屋営業法)で定められています。

    質屋であれば、消費者金融やカードローンのように返済に追われるという心配がありません。最悪の事態があらかじめ決まっているという点が、ほかのローンにはない質屋ならではのセーフティーネットです。

    信用情報に影響しない

    質屋の利用は、個人の信用情報に一切記録が残らないことも、時代を超えて選ばれる理由の一つです。

    質屋の融資は、利用者の返済能力(信用力)ではなく、あくまで預ける品物の価値を担保としています。そのため、カードローンのように、利用履歴や延滞情報が信用情報として信用情報機関に登録されることはありません。

    質屋であれば、将来の住宅ローンなどの審査に影響を与える心配なく、気軽に利用することができます。

    まとめ

    質屋は、日本では鎌倉時代から庶民の生活に深く根ざしてきました。江戸時代には「庶民の味方」として全盛期を迎え、近代的な金融システムが発達した現代においても、その本質的な価値は失われていません。

    即座に現金が得られ、信用情報に影響しないという質屋独自の特徴は、経済の先行きが不透明な現代で改めて注目度を高める要因となっています。数千年にわたる歴史の中で、人々の暮らしを支え続けた質屋は、まさに「時代を超えた金融サービス」なのです。

    「急に現金が必要になった」「大切なものを手放さずに、気軽にお金を借りたい」とお考えの方は、ぜひ質屋の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

    質屋CLOAKでは、さまざまなお品物の質入れ・買取ともに対応しております。名古屋エリアで「お金が必要になった」「自宅に不要なものがある」などで質屋・買取の利用をご検討されている方は、ぜひ質屋CLOAKをご利用ください。

    監修:井上 男(だん)

    金や貴金属・ブランド品をはじめ幅広いジャンルを取り扱う「質屋CLOAK」の代表。1977年7月生まれ。
    査定歴は25年以上で、年間10,000点ほどの商品を査定。長年培ってきた経験やスキル・最新相場の把握によって、お客様のご希望に寄り添った高額査定を実現中。

    おすすめの記事