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category: 質屋についての豆知識
 最終更新日 : 2025年10月31日 
 投稿日 : 2025年10月31日

 「私の私物を知人が勝手に質入れしていた」とお悩みではありませんか?もしくは、「質屋に入れていたものがいつの間にか売られてしまっていた」ことで、トラブルに巻き込まれているのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ご家族など第三者があなたの私物をあなたに無断で売却した盗難・横領のケースと、ご自身が期限までに質屋に返済できず契約にもとづき所有権が移る「質流れ」のケースに分けて、以下の内容を解説していきます。
この記事を最後まで読めば、「第三者が勝手に質屋で売ってしまった」もしくは「質流れしてしまった」という状況について、あなたが次に取るべき正しい行動が明確になるはずです。大切な品物に関するトラブル、諦める前にぜひご一読ください。

 知人をはじめ第三者があなたの私物を質屋で勝手に売ってしまった場合、それは「質流れ」ではなく「窃盗」や「横領」にあたる犯罪行為です。このようなケースでは、法律にもとづいて品物を取り戻せる可能性があります。
ただし品物を取り戻すためには、盗まれたことを証明し、迅速かつ適切な手続きを踏む必要があります。まずは慌てずに状況を整理し、警察への届け出と質屋への連絡をすぐにおこないましょう。
盗まれた品物(盗品)について、本来の持ち主であるあなたは、法律(古物営業法や民法)に基づき質屋に対して無償でその品物を返すよう請求できます。これは「盗品回復請求権」と呼ばれる権利です。(民法193条)
質屋も盗品とは知らずに買い取った被害者ではありますが、法律上、持ち主からの返還請求に応じる義務があります。
ただし、盗品回復請求権を行使できるのは、盗難時から原則として1年以内(質屋が善意無過失の場合)と定められています。(古物営業法20条)
盗品回復請求権の期限が切れたあとは、無償での返還請求ができなくなり、質屋に所有権が確定してしまうため、品物を取り戻すには買い戻すしか方法がなくなります。
第三者に勝手に売られてしまった品物を質屋から返還してもらうには、以下3つのステップを踏む必要があります。
順を追って解説します。
品物が盗まれて質屋に売られたと気づいたら、何よりも先に最寄りの警察署または交番へ行き、「被害届」を提出してください。被害届が受理されると、警察はその品物を「盗品」として捜査を開始します。これが、後々質屋に対して品物の返還を求めるための法的な根拠となります。
品物の特徴や、いつどこで盗まれたか、誰に盗まれた可能性があるかなどをできるだけ詳しく伝えましょう。
どの質屋に売られたか見当がつく場合、または警察の捜査で判明した場合は、すぐにその質屋へ連絡しましょう。その際、「警察に被害届を出している(受理番号があれば伝える)」こと、そして「その品物は盗品である可能性があるので、店頭に出したり第三者に売ったりしないでほしい」と明確に伝えます。
質屋も善意の第三者(被害者)であることが多いため、冷静に、警察が関与している事実を伝えることが重要です。
警察の捜査により、質屋にある品物があなたの盗品であると正式に確認されたら、質屋に対して品物の返還を求めます。
前述の通り、盗難から1年以内であれば、あなたは質屋に対して無償での返還を請求できます。質屋は、買い取った相手(犯人)に支払った代金を回収できなくなりますが、法律上あなたの返還請求に応じる義務があります。
通常は警察の仲介のもとで返還手続きがおこなわれます。
ご自身で質屋に預けた品物がなくなった場合、「自分の知らないうちに売られてしまった」と感じるかもしれませんが、それは「質流れ(しちながれ)」という正当な手続きの結果によるものです。
まずは契約内容(とくに期限)を確認し、質流れの仕組みを正しく理解する必要があります。
質流れとは、質預かりの契約において、定められた期限(流質期限)までに元金と質料を支払えなかった場合に、預けた品物の所有権が自動的に質屋に移る仕組みのことです。所有権が移った品物は、質屋が自由に売却や処分等をできるようになります。
質流れになると、あなたは品物を取り戻せなくなる代わりに、借りたお金を返済する義務も一切なくなります。これが質屋の最大の特徴です。
質屋は、流質期限が近づいても、利用者に対して「期限が迫っていますよ」といった連絡や催促をする法的な義務はありません。期限の管理は、すべてお金を借りた利用者自身の責任となります。
銀行カードローンの返済遅れのように、電話がかかってきたり督促状が届いたりする仕組みとは根本的に異なります。そのため、預けた際に受け取る「質札(しちふだ)」に記載された期限を自分でしっかり把握しておくことが非常に重要です。
質流れになる期限に関するルールを理解しておかないと、「まだ大丈夫だと思っていたのに質流れになってしまった」という事態になりかねません。基本的には、質札に記載された日付がすべてですが、法律上の原則も知っておくと安心です。
質流れの期限について、深掘りしていきます。
質流れになる期限は、質屋に品物を預けてお金を借りた際の「預かり期間(契約期間)の満了日」と同義です。この日付は、お金を借りたときに受け取る「質札(しちふだ)」という書類に必ず明記されています。
たとえば、10月29日に契約して預かり期間が3カ月であれば、流質期限は翌年の1月29日となります。この日付を1日でも過ぎてしまうと、原則として質流れとなります。
質屋営業法という法律では、質預かりの期間を「3カ月未満としてはならない」と定めています。つまり、どんなに短い契約を結んだとしても、最低3カ月間は品物が質流れになることがないということです。
多くの質屋では、この法律上の最低期間である「3カ月」を基本的な預かり期間として設定しています。質札をなくして期限がわからなくなった場合でも、最低3カ月は猶予があると考えてよいでしょう。

 では、質流れによって所有権が質屋に移ってしまった品物を取り戻す方法はあるのでしょうか。3つの項目に分けて解説していきます。
一度質流れしてしまった品物は、法律上その所有権が質屋に移ることから、原則として取り戻すことはできません。
質預かりの契約は、「期限までに返済できなければ品物の所有権を放棄します」という約束にもとづいています。そのため、期限を過ぎると自動的に所有権が質屋に移り、あなたは品物を取り戻す権利を失います。
質流れは借金の返済義務がなくなる代わりに品物を失う仕組みであり、その決定は覆せないのが基本です。
質流れした品物を取り戻す唯一の可能性は、質屋がその品物をまだ別の業者に売却しておらず、店頭やWebサイトで「質流れ品」として販売している場合です。
質屋は質流れした品物を在庫として抱えず、なるべく早く現金化しようとします。しかし、タイミングによってはまだ販売されずに残っているケースもあるのです。
もしどうしても取り戻したい品物であれば、質流れに気づいた時点ですぐに質屋に連絡し、まだ在庫として残っているか確認してみましょう。
質流れした品物を質屋で見つけ、「買い戻したい」と交渉する際は、あくまで一般の顧客として「購入」する形になる点に注意が必要です。元の持ち主だからといって、特別な価格で買い戻せるわけではありません。
販売価格は質屋が自由に設定しており、質預かり時の査定額(融資額)よりも高くなっているのが普通です。また、すでに他の人に売約済みになっている場合もあります。
買い戻せるかは質屋の判断次第であり、必ずしも応じてもらえるとは限らない点に注意しましょう。

 質屋が契約上の期限(流質期限)よりも前に品物を売却した場合など、質屋に過失があるケースでは、まずは利用先の質屋と話し、解決しない場合は適切に対処する必要があります。
もしご自身の状況がこれらに該当するかもしれないと感じたら、泣き寝入りせずに専門機関へ相談しましょう。
質屋の違法性が疑われるのは、主に以下2つのケースです。
それぞれ解説します。
質札に明記された流質期限よりも前に質屋が品物を売却した場合、それは契約違反であり違法行為にあたる可能性が高いです。
質札は質屋との契約内容を証明する重要な書類であり、そこに書かれた期限までは、品物の所有権はあなたにあります。そして質屋には、その期間中は品物を適切に保管する義務があるのです。
もし期限前に売却された事実が確認できれば、質屋に対して損害賠償などを請求できる可能性があります。
流質期限までに、質料の一部または全部を支払い正式に期限の延長手続きをおこなったにもかかわらず品物が売却されてしまった場合も、質屋側の重大な契約不履行にあたります。
期限延長の手続きをおこなえば、その期間中は引き続き品物の所有権はあなたにあります。延長手続きの控え(領収書など)があれば、それが重要な証拠となるでしょう。これも、質屋に対して損害賠償請求の対象となりうるケースです。
質屋の行為に違法性が疑われ、当事者同士での解決が難しい場合は、専門的な知識を持つ第三者に相談するのが賢明です。主な相談先は、以下の3つです。
それぞれの機関の特徴を理解し、状況に合わせて適切な相談先を選びましょう。詳しく解説します。
質屋とのトラブルで困った場合、まずは身近な相談窓口である消費生活センターに電話するのがおすすめです。消費生活センターでは、契約トラブルに関する相談を受け付けており、質屋との間でどのような問題が起きているのかを整理し、今後の対応について中立的な立場からアドバイスをもらえます。
また、必要に応じて事業者への仲介をおこなってくれる場合もあります。相談は無料です。
参考:全国の消費生活センター等
質屋の行為が明らかに違法であり、損害賠償請求など法的な解決を目指す場合は、弁護士に相談するのが最も確実な方法です。弁護士は法律の専門家として、あなたの代理人となり、質屋との交渉や、必要であれば訴訟の手続きを進めてくれます。
とくに損害額が大きい場合や、質屋が悪質な対応を取る場合には、弁護士の力が不可欠です。初回相談は無料でおこなっている法律事務所も多くあります。
質屋業界の自主的な団体である「全国質屋組合連合会」や、各都道府県にある「質屋組合(協同組合)」に相談する方法もあります。これらの団体には、業界のルールや慣行に詳しい相談員がいる場合があります。組合に加盟している質屋であれば、組合を通じて指導や是正を促してもらえる可能性も考えられます。
ただし、法的な強制力はないため、あくまで話し合いによる解決を目指す場合の選択肢となります。
参考:全国質屋組合連合会
この記事では、第三者によって私物が「盗難・横領」され質屋に勝手に売られてしまったケースと、質屋との契約に基づく「質流れ」のケースに分けて、それぞれの対処法を詳しく解説しました。
第三者に勝手に売られた場合は、すぐに警察へ被害届を出し、「盗品回復請求」をおこなえば、無償で品物を取り戻せる可能性があります。
一方質流れの場合は、期限までに返済がないと自動的に所有権が移る合法的な仕組みであり、一度質流れすると原則取り戻せません。
質屋はルールを理解したうえで、ご自身の状況に合わせて適切な対応をとり、ご自身の大切な品物を取り戻すよう動くようにしましょう。
質屋CLOAKでは、多品目の質入れ・買取ともに対応しております。名古屋エリアで「お金が必要になった」「自宅に不要なものがある」などで質屋・買取の利用をご検討されている方は、ぜひ質屋CLOAKをご利用ください。

監修:井上 男(だん)
 金や貴金属・ブランド品をはじめ幅広いジャンルを取り扱う「質屋CLOAK」の代表。1977年7月生まれ。
 査定歴は25年以上で、年間10,000点ほどの商品を査定。長年培ってきた経験やスキル・最新相場の把握によって、お客様のご希望に寄り添った高額査定を実現中。

 名古屋大須の質屋・買取店
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