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  • プラチナの価値がなくなることはある?価値が上下する4つの要因


    category: 貴金属についての豆知識

    最終更新日 : 2023年12月20日
    投稿日 : 2023年12月20日


    「プラチナの価値がなくなることってある?」「プラチナの価値って今後どうなる?」と疑問に思ったことはありませんか?

    結論、プラチナの価値がなくなることはありません。プラチナは実物資産としての性質を持っているためです。この記事では、主に以下の内容を解説しています。

    • プラチナの価値がどう決まるか
    • プラチナの価値が上下する4つの要因
    • 2023年以降プラチナの価値はどうなる?

    この記事を読むことで、プラチナの価値が今後どうなるのか、どのようにして価値が上下するのかを理解できます。プラチナの価値について知りたい方やプラチナへの投資をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

    プラチナの価値はなくならない


    結論、プラチナの価値がなくなることはありません。プラチナはその固有の価値を持つ「実物資産」としての性質を持っています。そのため、企業や国家の経済破綻のような事態になっても、株や債券のように価値が完全に失われることはないということです。

    今後も、市場においてプラチナの価値が完全に無くなるというシナリオは考えにくいです。金と比較しても、プラチナの年間生産量は約200トンで、金の約1/15に過ぎません。また、歴史上の総生産量では、プラチナは金の約1/26にすぎないとされています。

    参考:金・プラチナ・銀の特徴 | はじめての方へ | 田中貴金属 総合口座

    またプラチナは、約70%が自動車産業などの工業用途に使用されるという特性があります。日本では宝飾品としてのイメージが強いですが、実際には産業分野で不可欠な素材です。このため、価値が完全に失われることはほぼないでしょう。

    プラチナ価値は需要と供給で決まる

    プラチナの市場価値は、需要と供給のバランスに基づいて決まります。

    プラチナは特定の地域でのみ採掘可能です。プラチナの主要な産出国は、南アフリカが世界全体の約70%、ロシアが約10%を占め、地域的な集中が見られます。そのため、主要産出国の政治的、経済的動向が価格変動に直接影響があります。

    プラチナの需要は、約70%が工業用、約25%が宝飾品用途です。工業用途では自動車触媒が約60%を占め、残りは化学・ガラス・エレクトロニクスなどに利用されます。これらの需要は、世界情勢や景気・自動車業界の動向によって大きな影響を受けやすいです。

    なぜプラチナの価値は金より低い?


    最近の市場動向を観察すると、金の価格は上昇傾向にあるのに対し、プラチナは下落しているように見えます。また、金・プラチナそれぞれの相場を見ても、金は1g10,268円なのに対し、プラチナは1g4,866円です。

    参考:田中貴金属工業株式会社|貴金属価格情報(2023年12月19日現在)

    金よりも希少性の高いプラチナのほうがなぜ相場が低いのかというと、両者の用途と需要の違いにあります。

    用途価格変動の要因
    プラチナ主に工業用途
    自動車産業での触媒として利用されている(全需要の70%)
    景気や自動車産業の影響を直接受けやすい
    宝飾品と投資経済危機や政治的不安時に安全資産としての需要が高まり、価格が下落しにくい

    景気や自動車産業の影響を受けやすいプラチナは、2008年のリーマンショック時やディーゼル車の信用低下が、プラチナ価格の下落につながりました。

    一方、工業用途がわずか7%の金は、「安全資産」としての側面が強く、景気や世界情勢が悪化すると価格が上がる傾向にあります。実際に、プラチナの価格が下がる原因となったリーマンショック時、反対に金の価格が上がりました。

    最近の新型コロナウイルスの流行やウクライナ侵攻のような先行きが不透明な状況下では、金の価格が高騰し、プラチナとの価格差が広がっています。金とプラチナの価値については、以下の記事を参考にしてください。

    プラチナの価値が上下する4つの要因


    プラチナの価値が上下する要因は、主に以下の4つです。

    1. 自動車をはじめとした工業需要
    2. 水素社会の実現
    3. 主要となる消費国の景気
    4. 南アフリカ共和国の社会情勢

    それぞれ解説していきます。

    自動車産業をはじめとした工業需要

    自動車業界の動きは、プラチナ価格に大きな影響を与えます。プラチナは主にディーゼルエンジンの排ガス浄化触媒として使用されているためです。

    現在、欧州を中心に進むディーゼル車からの移行は、プラチナの需要を減少させる傾向にあります。

    一方、パラジウムに代わる触媒としてプラチナが使用される動きも見られます。これはパラジウム供給の多くがロシアに依存しているためです。この代替が進むと、プラチナの需要が増え、結果的に価格も上昇する可能性があります。

    燃料電池車の普及

    燃料電池車(燃料電池車)が普及することで、今後プラチナの需要が増加し、価格が上昇する可能性があります。

    燃料電池車は、水素と酸素の化学反応で電気を発生させ、その電力でモーターを駆動します。この電力生成プロセスで、ディーゼル車よりも多くのプラチナが触媒として使用されているんです。

    燃料電池車の需要は、2035年までに増加すると予想されており、今後プラチナの需要が拡大する可能性が高いです。

    水素社会の実現

    「水素社会」へのシフトは、プラチナの価格を高める可能性があります。水素社会は、主に水素をエネルギー源とする社会のことで、CO2や排気ガスの排出がなく環境に優しいのが特徴です。

    日本や欧州では水素エネルギーの活用が進んでおり、「燃料電池車」がその一例です。

    ですが、水素エネルギーの生成にプラチナ以外の触媒が見つかった場合は、プラチナの需要が減少する可能性も否定できません。

    主要となる消費国の景気

    プラチナ消費の大部分は欧州・北米・日本・中国に集中しています。約70%が工業用途に使われているプラチナですから、消費国の景気動向がプラチナ価格に直結します。

    景気が好転すればプラチナの需要が増えて価格が上昇しやすくなるものの、景気が後退すれば需要が減り価格が下がりやすくなるというわけです。

    たとえば、2020年3月以降の新型コロナウイルス流行時には、世界中で自動車生産が減少し、プラチナの価格低下につながりました。各国のGDPや金融政策を注視し、景気の動向を追うようにしましょう。

    南アフリカ共和国の社会情勢

    プラチナの主要産出国である南アフリカ(全体の約70%)の政治経済状況は、プラチナの価格変動に大きな影響を与えます。特に2008年のリーマンショック直前、南アフリカの鉱山での電力問題による生産停止がプラチナ価格の急騰の一因となりました。近年では、鉱山労働者のストライキが価格上昇の要因になっています。

    また、南アフリカの通貨であるランドが米ドルに対して価値を落とすと、南アフリカからの輸出が増加し市場での供給量も増え、価格が下落する可能性も。

    プラチナの産出量が世界第2位のロシア情勢も影響しますが、南アフリカの動向がより大きな影響を及ぼします。

    2023年以降プラチナの価値はどうなる?

    今後数年間、プラチナ価格は上昇するとされています。

    World Platinum Investment Council(WPIC)の報告によると、2023年から2024年にかけてプラチナ供給が若干不足すると見込まれ、2026年まで拡大すると予測されています。この要因の一つとして、ガソリン車の排ガス浄化触媒として使われているパラジウムに代わり、プラチナが利用されることで需要が増加するとされています。

    加えて、より厳しい排ガス規制に対応するために、車両1台あたりに使用される触媒の量が増加することも、価格上昇の要因です。

    ただし、WPICが公開しているデータには、中国が自国の需要を超えてプラチナを輸入している事実を考慮に入れていないため、注意が必要です。

    長期的に見たときのプラチナの価値は?

    長期的な視点で見ると、自動車業界の動向によってはプラチナの価値が上がる可能性も、下がる可能性もあります。

    燃料電池車の需要の増加は、プラチナの価値上昇に寄与します。

    しかし反対に、電気自動車の普及が、プラチナの需要を減少させる可能性が高いです。そして、以下のような国々では電気自動車普及の動きがあります。

    自動車業界の方針
    中国2035年までに新車販売における新エネルギー車(NEV)の普及率を50%以上にする
    欧州連合(EU)2035年までに合成燃料(e-fuel)車を除き、ガソリンやディーゼルを使うエンジン車の新車販売を禁止する
    アメリカ2030年までに新車販売のうち50%以上を電気自動車と燃料電池自動車にする
    日本2035年までに乗用車新車販売における電動車の比率を100%とする
    韓国2030年までに電気自動車を420万台、充電スタンドの普及率を電気自動車1.9台あたり1基(123万台)に増やすことを目標に掲げている

    参考・情報引用:【2023最新版】世界の電気自動車(EV)の動向 |EV充電エネチェン(2023年12月19日時点の情報)

    このような世界的な自動車産業の傾向は、長期的に見たプラチナの価値が大幅に低下している可能性も考えられます。

    プラチナの下落が不安であれば買取も一つの手段


    プラチナの価値・相場は日々変動しています。そのため、少しでも相場が上昇したタイミングを見計らって買取に出すのも一つの手段といえるでしょう。

    買取にだしたあとに相場が上昇傾向を見せるようであれば損となる可能性もありますが、確実に利益を出したいとお考えの方にはおすすめの方法です。

    質屋CLOAKでは、プラチナの高価買取を実施中です。査定だけのご相談も受け付けていますので、ぜひ一度ご来店ください。

    まとめ

    将来的に考えて、プラチナの価値がなくなることはありません。プラチナは実物資産としての側面があるため、企業や国が破綻したとしても株や債権のように価値がなくなることはないからです。

    プラチナの価値は、自動車産業の今後の動向に多大な影響を受けることが予測されます。短期的に見るとプラチナの価値が下がる可能性は低いですが、将来的に電気自動車が普及することでプラチナの需要が減り、価値が下がる可能性も。

    プラチナの売却をお考えの方は、日々相場を確認し少しでも高くなったタイミングで買取に出すのがおすすめです。

    質屋CLOAKでは、プラチナ商品の質入れ・買取ともに対応しております。名古屋エリアで「お金が必要になった」「自宅に不要なものがある」などで質屋・買取の利用をご検討されている方は、ぜひ質屋CLOAKをご利用ください。

    監修:井上 男(だん)

    金や貴金属・ブランド品をはじめ幅広いジャンルを取り扱う「質屋CLOAK」の代表。1977年7月生まれ。
    査定歴は25年以上で、年間10,000点ほどの商品を査定。長年培ってきた経験やスキル・最新相場の把握によって、お客様のご希望に寄り添った高額査定を実現中。

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