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category: その他豆知識
最終更新日 : 2025年09月02日
投稿日 : 2025年09月02日

プレゼントされた指輪や、家で見つけたジュエリー。「このダイヤモンドは、本当に本物だろうか?」と、気になったことはありませんか。
ダイヤモンドを専門店に持ち込む前に、もし自宅で簡単に見分ける方法があれば知りたいですよね。そこでこの記事では、ご自宅でできる「ダイヤモンドの見分け方」を11個に分けて徹底解説していきます。
記事の後半では、ダイヤモンドの鑑定書に書かれている評価基準についても解説しています。ダイヤモンドが本物かどうか見極めたい方、価値を決める基準について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

まずは、ダイヤモンドの偽物として良く間違われるモノを整理していきます。
一般的に「偽物」と呼ばれるダイヤモンドには、模造石・類似石、人工ダイヤモンドがあり、その扱いは大きく異なります。
本物の天然ダイヤモンドは、地球の奥深くで想像を絶するほどの高温と高圧にさらされた炭素だけで構成されています。しかし、模造石や類似石は全く異なる成分の石です。
最も代表的な模造石であるキュービックジルコニアは「二酸化ジルコニウム」、近年人気が高まっているモアサナイトは「炭化ケイ素」が主成分です。根本的な化学組成が違うため、硬度や熱伝導率、光の屈折率といった物理的な特性も全く異なります。
プロの鑑定士は特性の違いを専門的な機器で測定し、正確に真贋を判定可能です。
市場には、精巧に作られた様々な模造石・類似石が存在します。それが、以下の3つです。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
キュービックジルコニアは、「CZ」という略称でも知られる、ダイヤモンドの模造石として最もポピュラーな存在です。屈折率がダイヤモンドに近くよく似た輝きを放ちますが、性質には明確な違いがあります。
キュービックジルコニアは、光の分散度がダイヤモンドよりも高い特性があります。光に当てるとキラキラと強く輝きますが、光に赤や青、緑といった虹色が目立ちがちです。ダイヤモンド特有の奥深く、品のある白い輝きとは趣が異なります。人によっては「輝きすぎる」「安っぽい」と感じるかもしれません。
鉱物の硬さを示すモース硬度も異なります。ダイヤモンドが最高の「10」であるのに対し、キュービックジルコニアは「8〜8.5」です。日常的に使用していると細かな傷がつきやすく、輝きが曇りやすい宝石といえます。
また、同じサイズのダイヤモンドと比較すると、キュービックジルコニアの比重は約1.7倍も重いです。もし同じカラット数のダイヤモンドと並べた場合、キュービックジルコニアの方が小さく見えます。
モアサナイトは、炭化ケイ素からなる鉱物です。自然界では隕石の中からごく稀にしか発見されないため、そのほとんどは人工的に製造されています。
モアサナイトの最大の特徴は、ダイヤモンドを上回るほどの輝きです。光の屈折率はダイヤモンドよりも高く、分散度は2倍以上あります。非常に強く眩いほどの虹色の輝きを放ちますが、この強すぎる輝きが、逆に見分けるポイントとなります。
モース硬度は「9.25」と、ダイヤモンドの「10」に次いで非常に硬いです。キュービックジルコニアのように簡単には傷つかず、その美しさを長く保てます。
さらに熱伝導率がダイヤモンドに非常に近いため、旧式のダイヤモンドテスターでは判別が困難でした。しかし、モアサナイトは「複屈折」という、光が石の内部で二重に見える光学特性を持っています。ルーペで石を斜めから覗き込んだとき稜線(ファセットのエッジ)が二重にダブって見えるため、専門家には一目瞭然です。
安価なファッションアクセサリーなどによく使用されるのが、ガラスやクリスタルです。スワロフスキーに代表されるクリスタルガラスは、酸化鉛などを加え透明度と屈折率を高めています。
しかしガラスのモース硬度は「5〜6」程度と低く、非常に傷つきやすい素材です。表面に多数の小傷があったり、カットされたエッジが摩耗して丸くなっていたりします。屈折率も低いため、ダイヤモンドのようなシャープで力強い輝きはなく全体的にぼんやりとしています。手に持ったときの、ダイヤモンド特有のひんやりとした冷たさも感じられません。
近年、人工ダイヤモンドが注目を集めています。これは、研究所で天然ダイヤモンドが生成される地球内部の環境を再現して作られたものです。
人工ダイヤモンドは、天然ダイヤモンドと全く同じ「炭素」から構成されています。化学的・物理的・光学的特性も完全に同一です。つまり、キュービックジルコニアやモアサナイトのような模造石とは全く異なり、「本物のダイヤモンド」といえるでしょう。
よって、人工のダイヤモンドは「偽物」ではありません。しかし、天然資源ではなく工業製品であり、市場価値は天然よりも低く設定されています。専門の鑑定機関では、特殊な機器を用いて天然か人工かを判別し、鑑定書にもその旨が明記されます。
最近では、サステナビリティや倫理的な観点から、あえて人工ダイヤモンドを選ぶ人も増えてきています。

ダイヤモンドの物理的特性を利用すれば、自宅にあるものや五感を使い、真贋をある程度見分けることが可能です。ここでは、手軽に試せる11の方法を紹介します。
それぞれ解説します。
※これらはあくまで簡易的な方法です。最終的な判断は専門家に委ねましょう。
ダイヤモンドに息を吹きかけてみてください。本物のダイヤモンドは熱伝導率が非常に高く、吹きかけられた息の水分による曇りが一瞬で消えます。
キュービックジルコニアやガラスなどの類似石は熱伝導率が低く熱が逃げにくいため、曇りが数秒間残るためすぐわかるでしょう。
息を吹きかける方法と同様に、熱伝導率の高さを利用した確認方法です。
ダイヤモンドを冷蔵庫に2〜3分入れてから取り出してみてください。本物のダイヤモンドはすぐに常温に戻りますが、偽物はしばらく冷たいままです。
ダイヤモンド特有の「ひんやりとした感触」は、この高い熱伝導率によるものといわれています。
ダイヤモンドの表面に、爪楊枝の先などでそっと水滴を垂らしてみてください。本物のダイヤモンドは水を弾く性質(疎水性)があり、水滴は表面張力で丸い球状を保とうとします。一方、ガラスなどの偽物の上では、水滴が広がりがちです。
もし10倍程度に拡大できるルーペがあれば、石の内部や表面を観察してみましょう。
天然ダイヤモンドは自然界で形成される過程で、内部に微小な別の結晶や亀裂などが取り込まれやすいです。「インクルージョン」と呼ばれるこれは、いわば天然の証です。完全に無傷のダイヤモンドは非常に稀で高価といわれています。逆に、模造石は工業的に作られるため、内部が完璧にクリアで気泡が見られるケースも多いです。
さらに、ダイヤモンドはモース硬度10と最も硬い鉱物であり、カットされた面と面の間の稜線(エッジ)が非常にシャープとなっています。硬度の低い類似石は、エッジが摩耗して少し丸みを帯びがちです。
同じ大きさ(直径)の石であれば、重さを比べ見分けられる場合があります。
キュービックジルコニアはダイヤモンドより約1.7倍、モアサナイトは若干軽いです。精密なデジタルスケールがあれば、石の直径と重さから比重を割り出し、本物を推測する手がかりになります。
白い紙に黒い直線を1本引き、その線のうえにダイヤモンドの平らな面を下にして置いてください。
尖った先端(キューレット)側から真下に、線を覗き込みましょう。本物のダイヤモンドは屈折率が非常に高いため、光が石の内部で複雑に反射して下の直線はほとんど見えません。一方、ガラスや水晶などの屈折率が低い石では、線が歪んで見えたり、はっきりと透けて見えたりします。
キュービックジルコニアはダイヤモンドに近い見え方ですが、それでもやや線が見えるため見分けられます。
ダイヤモンドの表面は、油に馴染みやすい「親油性」が強いです。油性ペンのインクは油であり、本物のダイヤモンドの表面に油性ペンで点を描こうとすると、インクは弾かれずに綺麗に乗ります。一方、キュービックジルコニアやガラスはインクを弾いてしまい、綺麗な点を描けません。
なお、この見分け方を試したあとは、アルコールなどで優しく拭き取ればインクは綺麗に落ちますが、少しでも汚したくないという方はおこなわないほうが無難です。
ダイヤモンドの輝きは、主に3つの要素で構成されています。
本物のダイヤモンドは、これら3つの要素が絶妙なバランスを保っています。特に、力強いブリリアンス(白い輝き)が特徴的です。
一方、キュービックジルコニアやモアサナイトは、ディスパージョン(虹色の輝き)が過度に強く、ギラギラとした印象を与えます。輝きの「質」に注目してみると、その違いが見えてくるかもしれません。
ブラックライトを当てると、一部のダイヤモンドは青白い光を発する「蛍光性」を持っています。
もし持っているダイヤモンドが蛍光反応を示せば、本物である可能性が高いです。ただし、全ての天然ダイヤモンドが蛍光性を持つわけではなく、全く反応しないものもあります。
また、一部の人工ダイヤモンドや類似石も蛍光反応を示すため、この方法だけで断定はできません。
より確実に調べたいなら、ダイヤモンドテスターを使用する方法があります。
これは、ペン型の機器の先端を石に当て、その熱伝導率を測定することでダイヤモンドを判定するものです。しかし、モアサナイトは熱伝導率がダイヤモンドに近く、一般的なテスターでは判別できません。モアサナイトも判定できる、電気伝導率も測定可能な「マルチテスター」を使用する必要があります。
ダイヤモンドの圧倒的な硬さは、そのシャープなディテールに現れます。長年使用されたジュエリーでも、本物のダイヤモンドならファセットのエッジは鋭利なまま保たれているはずです。
もしエッジが欠けていたり、丸くすり減っているように見えたりする場合は、硬度の低い類似石である可能性を疑いましょう。

ダイヤモンドの品質を客観的に証明するのが、鑑定書です。鑑定機関がそのダイヤモンドの品質を評価した結果を記したもので、人間でいうところの成績表といえるでしょう。
鑑定書には、国際的に認められた品質評価基準「4C」(カット・カラー・クラリティ・カラット)に基づいた評価が記載されています。ここからは、4Cそれぞれの評価基準について解説していきます。
4Cの中で唯一、人間の技術が介入する要素です。ダイヤモンドの原石をいかに美しくカットし、研磨したかを評価します。
上記3項目を総合的に判断し、「Excellent」を最高評価とする5段階(Excellent, Very Good, Good, Fair, Poor)で評価されます。カットの評価が高いほど、ダイヤモンドは強く美しく輝きます。
カラーは、ダイヤモンドの色を評価する基準です。D〜Zの23段階で評価されます。
Dに近く無色透明なものほど希少価値が高くなり、アルファベット順に「Z」に近づくにつれて黄色味を帯びるのが特徴です。評価は、厳格に管理された環境下で「マスターストーン」と呼ばれる基準石と比較しておこなわれます。一般的に婚約指輪などでは「H」カラー以上が無色と見なされ、人気が高いです。
クラリティは、ダイヤモンドの透明度を評価する基準です。
天然ダイヤモンドの多くは、その生成過程で生じた内部のキズ(インクルージョン)や、表面のキズ(ブレミッシュ)を含んでいます。これらのキズの数、大きさ、位置、性質などを10倍のルーペで観察して評価します。
評価は無傷の「Flawless (FL)」を最高とする11段階です。「SI1」クラス以上の商品は、肉眼で内包物を確認できません。
カラットはダイヤモンドの重さを表す単位で、「ct」と表記されます。
1カラットは0.2グラムです。一般的に、カラット数が大きいほど希少価値が高まり、価格も上がります。
ただし、ダイヤモンドの価値はカラットだけで決まるわけではありません。ほかの3C(カット、カラー、クラリティ)との総合的なバランスが非常に重要です。同じ1カラットでも、品質によって輝きと価値は大きく異なります。
「鑑定書を紛失してしまった」「親から譲り受けたもので、もともと鑑定書がない」という場合も少なくありません。鑑定書はないけどダイヤモンドの価値を知りたいというときは、以下2つの方法を検討してください。
一つずつ解説します。
最も正確にダイヤモンドの品質を知りたいなら、GIA(米国宝石学会)やCGL(中央宝石研究所)を利用しましょう。これらは、信頼できる第三者の鑑定機関に鑑定を依頼可能です。
お持ちのダイヤモンドの正確な4C評価が記載された、新しい鑑定書を発行してもらえます。
鑑定機関の利用は有料です。鑑定費用はダイヤモンドのカラット数によって変動し、数千円から数万円程度の費用と、数週間の期間がかかります。
あくまで品質を証明するためのもので、金銭的な価値(価格)を査定するものではない点にも注意しましょう。
「品質だけでなく、現在の価値も知りたい」「売却も検討している」と思っている方は、宝石やジュエリーの買取専門店に査定を依頼するのが最も効率的です。
多くの買取専門店では、無料で査定をおこなっています。4Cはもちろんのこと、デザインの流行やブランド価値、市場の相場などを総合的に判断し、現在の買取価格を提示してくれるでしょう。鑑定書がなくても、ダイヤモンドそのものをしっかりと評価するため、安心して依頼できます。
また、一店舗だけでなく、複数の店舗で査定を受けて比較検討(相見積もり)をしましょう。より納得のいく価格で、売却できる可能性が高まります。
自宅でできる簡易的な見分け方は、あくまで参考の一つです。息を吹きかけたり線を透かして見たりしてもしかしたらと感じたら、ぜひプロに鑑定を依頼してください。
ダイヤモンドの真の価値は、国際基準である「4C」によって評価されます。もし鑑定書があれば、そこに記されたグレードが品質の客観的な証明となります。鑑定書がない場合でも、買取専門店の無料査定などを利用すれば、その価値を正確に理解可能です。ぜひご利用を検討してください。
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監修:井上 男(だん)
金や貴金属・ブランド品をはじめ幅広いジャンルを取り扱う「質屋CLOAK」の代表。1977年7月生まれ。
査定歴は25年以上で、年間10,000点ほどの商品を査定。長年培ってきた経験やスキル・最新相場の把握によって、お客様のご希望に寄り添った高額査定を実現中。

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