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  • ダイヤモンドの価値が暴落している?その理由や今後の売却や保有について


    category: その他豆知識

    最終更新日 : 2025年07月08日
    投稿日 : 2025年07月08日


    「ダイヤモンドの価値が暴落している」そんな衝撃的なニュースを目にし、ご自身が持つジュエリーの価値は大丈夫だろうか、と不安に感じていませんか。

    結論、ダイヤモンドの価値が下落しているのは、あくまで一部のダイヤモンドです。そしてこの価格変動の背景には、「人工ダイヤモンドの台頭」という大きなトピックが関係しています。

    この記事では、なぜダイヤモンドの価値が暴落したと言われているのか、ダイヤモンドの価値はどのように決まるのか、そして今後どうするべきかまでを徹底的に解説します。

    ダイヤモンドの価値暴落について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

    ダイヤモンドの「価値暴落」は本当か?現在の市場動向


    ダイヤモンドの「価値暴落」という言葉がメディアを賑わせていますが、これは主に小粒で品質が標準的なダイヤの価格下落を指しており、全てのダイヤの価値が暴落しているわけではありません。

    市場は、価値が「二極化」していると理解するのが、現在の正確な状況です。

    一部のダイヤモンド価格は下落傾向にあるが、全てではない

    結論として、とくに婚約指輪などで需要の多い、1カラット前後で標準的な品質の天然ダイヤモンドの価格は、近年、明確な下落傾向にあります。これは、見た目では区別がつかないほど高品質なラボグロウンダイヤモンド(人工ダイヤ)が、天然ダイヤの数分の一という低価格で大量に供給されるようになったためです。代替品の登場が、同クラスの天然ダイヤモンドの需要と価格を直接的に押し下げています。

    しかし、これはあくまで一部のカテゴリの話であり、全てのダイヤモンドが同じ状況ではない点に注意が必要です。

    実際の価格推移データで見る市場のトレンド

    実際の価格推移を見ると、ダイヤモンドの国際的な価格指標である「ラパポート価格表」において、品質やサイズによっては、過去数年間で2桁の価格下落を記録しているカテゴリが存在します。

    とくに、1カラット以下の小粒なものや、カラー・クラリティのグレードが中程度の、いわゆるコマーシャル品質のダイヤモンドで、この下落傾向は顕著に見て取れます。一方で、5カラットを超える大粒で最高品質のダイヤモンドの価格は、依然として安定、あるいは上昇している状況です。

    データを見ると、ダイヤモンドの価値が「二極化」していることが分かります。

    参考:Rapaport Diamond Price List – The Global Industry Standard

    なぜ「価値が暴落した」と言われるようになったのか?

    「価値が暴落した」という強い言葉が使われるようになったのは、これまで多くの人が「ダイヤモンドは永遠の輝きと価値を持つ」と信じてきたなかで、最も身近な婚約指輪クラスの価格が、目に見えて下落し始めたからです。

    ラボグロウンダイヤモンドの登場は、「ダイヤモンド=希少で高価」という、長年の神話を揺るがす大きな出来事でした。一般の消費者にとって最も馴染み深い領域の価格が下がったことで、ダイヤモンド全体の価値が暴落した、という印象が広がったのです。

    なぜダイヤモンドの価値は下がっているのか?

    近年ダイヤモンドの価値が下がっている理由を、さらに深堀していきます。ダイヤモンドの価値下落には、以下5つの理由が関係しています。

    • 人工ダイヤの台頭
    • ダイヤ供給会社の価格調整
    • 若者世代の価値観の変化
    • 世界経済の低迷
    • 需要の変化

    それぞれ解説します。

    理由①人工ダイヤの台頭

    前述したように、ダイヤモンドの価格に最も大きな影響を与えているのが、天然ダイヤモンドと見分けがつかないほど高品質な「ラボグロウンダイヤモンド」の台頭です。

    最新技術によって安価かつ大量に生産できるようになった人工ダイヤは、とくに婚約指輪などの市場で、天然ダイヤモンドの強力な代替品となりました。採掘に伴う環境負荷や紛争問題がないという倫理的な側面も、若い世代に支持されています。

    理由②ダイヤ供給会社の価格調整

    ダイヤモンドの世界的な供給を独占してきた「デビアス社」のような大手のダイヤモンド供給会社が、戦略的に価格の調整をおこなっていることも、市場価格に影響を与えています。

    人工ダイヤとの競争や、需要の低迷に対応するため、これらの供給会社が、原石の販売価格を意図的に引き下げる動きを見せているのです。

    これは、市場の流動性を高め、需要を喚起するための措置です。しかし、供給元によるこの価格調整は、結果としてダイヤモンドの小売価格にも下落圧力として働いています。

    理由③若者世代の価値観の変化

    ミレニアル世代やZ世代といった若者層の間で、高価な「モノ」を所有することへの価値観が変化し、ダイヤモンドへの憧れが相対的に低下していることも一因です。

    若年層は、高価な宝飾品を所有するよりも、旅行や自己投資といった体験に価値を見出す傾向が強いです。また、サステナビリティへの意識も高く、採掘の背景にある倫理的な問題を理由に、天然ダイヤモンドを敬遠する層も増えています。

    このような価値観の変化が、婚約指輪需要の減少などを通じて、ダイヤモンド全体の需要を押し下げています。

    理由④世界経済の低迷

    世界的なインフレや金利の上昇、そして地政学的なリスクの高まりによる、世界経済全体の低迷も、ダイヤモンドの価格に影響を与えています。

    ダイヤモンドのような高価な宝飾品は、景気が良く、人々の可処分所得に余裕があるときに需要が高まる贅沢品です。一方経済が不安定になり、将来への不安が高まると、人々はまず最初にこのような贅沢品の購入を控えるようになります。

    世界中の消費者の財布の紐が固くなることが、宝飾品市場全体の冷え込みに繋がり、価格を押し下げる要因となるのです。

    理由⑤需要の変化

    これまで世界のダイヤモンド需要を牽引してきた、中国などの主要市場における需要が変化していることも、価格に大きな影響を及ぼしています。中国経済の減速や、不動産市場の不振により、現地の富裕層による宝飾品への投資や消費が大きく落ち込んでいるのです。

    また、かつてブライダル需要が旺盛だった市場でも、若者のライフスタイルの変化により、婚約指輪にダイヤモンドを選ばないカップルも増えています。このような買い手の需要が変化したことが、世界のダイヤモンド市場のバランスを崩す一因です。

    価値が落ちにくいダイヤ・落ちやすいダイヤ


    ご自身の持つダイヤモンドの価値を知るためには、価値が落ちにくいものと、下落しやすいものの特徴を理解することが重要です。

    お手持ちのダイヤがどちらのタイプに近いか、確認してみましょう。

    価値が維持されやすい:大粒で高品質な「天然ダイヤモンド」

    今後も資産としての価値が維持、あるいは上昇すると期待されるのは、「天然である」という前提のうえで、「大粒で、かつ品質が極めて高い」ダイヤモンドです。

    2カラットを超えるような大粒で、カラーやクラリティの評価がトップクラスのダイヤモンドは、その絶対的な希少性から、一般的な宝飾品とは別の「資産」として扱われます。とくに、希少なピンクやブルーのファンシーカラーダイヤモンドは、市場の動向とは関係なく、その価値を保ち続けます。

    価値が下落しやすい:小粒で品質の低いダイヤモンドや、中古市場での需要が低いデザイン

    一方で、価値の下落がとくに懸念されるのは、婚約指輪などで多用される、1カラット以下で品質が標準クラスのダイヤモンドです。

    1カラット以下のダイヤモンドは、品質が向上したラボグロウンダイヤモンドの需要が高まっています。また、メレダイヤと呼ばれる0.1カラット以下の小さな石は、もともと資産価値としては評価されにくく、ジュエリーのデザインの一部として見なされることがほとんどです。

    ラボグロウンダイヤモンドの資産価値について

    ラボグロウンダイヤモンドは、資産価値という観点では、現時点では「ほとんどない」と考えるのが一般的です。技術の進歩により、今後さらに大量生産が可能になると、その希少価値は失われ、価格はさらに下落していくと予想されています。

    ラボグロウンダイヤモンドは、あくまでファッションとして天然ダイヤに近い輝きを手頃な価格で楽しむためのものであり、その価値は購入した時点がピークとなります。将来的な価値の維持や向上を期待する「資産」として保有するには不向きでしょう。

    ダイヤモンドの価値は何で決まる?基本の「4C」を再確認

    ダイヤモンドの価値は、主に以下の「4C」をもとに決定されます。

    • Carat
    • Cut
    • Color
    • Clarity

    一つずつ解説していきます。

    Carat(カラット:重さ)

    Carat(カラット)は、ダイヤモンドの「重さ」を表す単位で、1カラットは0.2グラムに相当します。この数値が大きいほどダイヤモンドが大きくなり、希少性も高まります。

    そのためカラットは、ダイヤモンドの価値を決める基本となります。

    Cut(カット:輝き)

    Cut(カット)は、ダイヤモンドの美しい輝きを生み出す、唯一、人間の技術が介入する評価基準です。原石が持つ光の屈折を最大限に引き出すための、研磨の技術やプロポーションの良し悪しを評価します。

    最高評価の「Excellent」から5段階で評価され、このグレードが高いほど、ダイヤモンドが美しく輝き、価値が高くなります。逆に、どんなに素材が良くても、カットの評価が低ければ、その石の魅力は半減してしまうのです。

    Color(カラー:色)

    Color(カラー)は、ダイヤモンドがどれだけ「無色透明」に近いか、その色の等級を評価する基準です。最高品質の無色である「D」をトップに、アルファベットが進むにつれて(E,F,G…)、徐々に黄色味を帯びていきます。

    一般的には、H以上が、肉眼ではほとんど無色に見えるとされ、宝飾品として高い人気があります。この無色透明度は、ダイヤモンドの希少性と価値に直接影響します。

    Clarity(クラリティ:透明度)

    クラリティは、ダイヤモンドの内部に含まれる内包物(インクルージョン)や、表面の傷(ブレミッシュ)が、どれだけ少ないかという「透明度」を評価する基準です。

    内外部に内包物が全く認められないものが最高評価の「フローレス(FL)」とされ、以降、内包物の大きさや数、位置などによって11段階で評価されます。内包物が少ないほど、光の透過が妨げられず、ダイヤモンドの輝きは増します。この透明度が、石の希少性と美しさを決める重要な要素の一つです。

    ダイヤモンドの価値を決める4C以外の要素

    ダイヤモンドの価値は、4Cだけでなく、「蛍光性」の有無、ジュエリーとしての「ブランド」や「デザイン」など、複数の要素が加味されて最終的に決まります。とくに、中古市場で再販される際には、これらの付加価値が査定額を大きく左右するのです。

    4Cのグレードと合わせてこれらの要素を理解すると、ご自身のダイヤモンドの本当の価値が見えてきます。

    今後どうすべき?ダイヤモンドの売却・保有の考え方


    ダイヤモンドの市場環境が変化するなかで、お手持ちのダイヤモンドを「売却」すべきか「保有」し続けるべきかは、そのダイヤモンドの品質やライフプランにもとづいて冷静に判断する必要があります。

    全てのダイヤモンドの価値が一様に下落しているわけではないため、慌てて売却して後悔するケースもあれば、タイミングを逃して損をするケースも考えられます。まずは専門家による正確な価値評価を受け、そのうえで今後の対応を検討するのが良いでしょう。

    ダイヤモンドの「売り時」を考える際のポイントと注意点

    ダイヤモンドの「売り時」を考える際は、金と同様に円安のタイミングを狙うことや、複数の買取店で査定を比較することが、高価売却を実現するための重要なポイントです。

    ダイヤモンドの国際取引はドル建てのため、円安の時期は円換算での買取価格が上昇する傾向にあります。また、お店によって査定基準や販売ルートが異なるため、必ず複数の専門店で見積もりを取り、最も高い価格を提示したお店を選ぶのが鉄則です。

    市場の動向を把握し、手間を惜しまずお店を比較すると、納得のいく価格での売却に繋がります。

    資産として「持ち続ける」場合に考慮すべきこと

    お手持ちのダイヤモンドを資産として「持ち続ける」と決めた場合は、その価値を損なわないよう、適切な保管と、長期的な視点を持つことが大切です。

    とくに、品質を証明するGIAなどの鑑定書は、ダイヤモンドそのものと同じくらい重要ですので、絶対に紛失しないように大切に保管してください。また、ジュエリーとして身につける際は、欠けや傷の原因となるような衝撃を避けましょう。

    大粒で高品質な天然ダイヤモンドは、短期的な価格変動に一喜一憂せず、次世代へ引き継ぐ資産として、じっくりと保有する選択肢も十分に考えられます。

    まとめ

    この記事では、ダイヤモンドの価値が「暴落」したと言われる背景から、価値が落ちにくいダイヤと落ちやすいダイヤの違い、そして今後の考え方までを詳しく解説しました。

    重要なのは、全てのダイヤモンドの価値が一様に下がっているわけではない、ということです。ラボグロウンダイヤの登場により、市場は二極化しています。

    ご自身の持つ天然ダイヤモンドの本当の価値を知るには、4Cなどの品質を正しく理解することが不可欠です。ニュースに惑わされず、まずは信頼できる専門家に査定を依頼し、冷静にその価値を見極めることから始めてみてはいかがでしょうか。

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    監修:井上 男(だん)

    金や貴金属・ブランド品をはじめ幅広いジャンルを取り扱う「質屋CLOAK」の代表。1977年7月生まれ。
    査定歴は25年以上で、年間10,000点ほどの商品を査定。長年培ってきた経験やスキル・最新相場の把握によって、お客様のご希望に寄り添った高額査定を実現中。

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